金正男氏殺害: 逮捕の2容疑者 接点は・背後は…深まる謎

 マレーシア・クアラルンプール国際空港で13日に起きた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏の殺害事件では、2人の女が関与した容疑で逮捕された。それぞれインドネシアとベトナムの旅券を所持していたが、いずれも暗殺を実行する「工作員」のイメージからほど遠い。女2人の接点はどこか。そして、背後に誰がいるのか。謎が深まっている。

 逮捕された女のインドネシア旅券はシティ・アイシャ(25)という名義になっていた。毎日新聞助手は17日、同じ名前の女が以前住んでいたジャカルタ西部の貧民街に入った。「報道で警察に連行される女の姿を見たが、シティに似ていた」。取材に応じた女の元夫の父(55)は驚きを隠せない様子だった。

 女は2007年に元義父が経営する縫製工場で勤め始め、翌年に結婚した。「礼儀正しく、実の親のように接してくれた」。12年ごろに離婚してからは長男(7)を元夫側に預けてジャカルタを出て、「バタム(インドネシアの島)で衣料品店の店員として働いている」と説明していた。インドネシア外務省によると、女は頻繁にマレーシアを訪れ、短期滞在を繰り返していた。また先月28日、旧正月を祝うために長男らの元を訪れて1泊し、子供に30万ルピア(約2500円)の「お年玉」をあげていた。

 女が以前暮らした家は3階建ての縫製工場の2階の一角。一家は衣類が散乱して雑然とした中に住んでいた。自治会長の男性(48)は「外務省職員が昨日来て、資料の提出を求められた」と話した。

 一方、ベトナム旅券はドアン・ティ・フオン(28)という名義。この女は事件前後、クアラルンプール空港から約10キロ離れた地域でホテルを1泊ごとに変えていた。ぬいぐるみを抱えて歩く様子は「とても工作員とは思えなかった」とホテル関係者は口をそろえる。「容姿が整っていた」との声も。また、コンタクトレンズの色を頻繁に変えるなど、不可解な行動を取っていたという。

 マレーシア警察関係者によると、この女の泊まったホテルの部屋にあったかばんの中から毒物が見つかったという。【クアラルンプール平野光芳、西脇真一】

2017年02月17日 21時55分

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