一宮中3自殺: 夏までに最終報告 第三者委設置、対応検証

 愛知県一宮市立浅井中学校3年の男子生徒(14)が「担任に人生を壊された」などのメモを残して自殺した問題で、市教育委員会は17日、弁護士や臨床心理士らでつくる第三者委員会を設置した。学校は担任の男性教諭(47)の指導を不適切とし謝罪したものの、生徒の自殺との因果関係は分かっていない。第三者委は生徒や親と担任とのやりとりなど事実確認を進め、学校側の対応に問題がなかったか検証していく。

 第三者委は弁護士のほか小児科医や保護者の代表ら6人で構成し、来週から原則非公開で会合を開く。夏までに最終報告をまとめることを目指し、調査の進展次第で中間報告の公表も検討する。

 この日は全校生徒にアンケート用紙の配布もした。22日までに回収し、第三者委による担任、同僚教諭や同級生らへの聞き取り調査に加え、生徒の様子などの情報を幅広く集める。記者会見した市教委の高橋信哉学校教育課長は「なぜ自殺に至ったのか解明したい」と述べた。

 生徒は今月6日夜、大阪市内の商業施設の7階から飛び降り自殺した。友人に託した携帯ゲーム機に「遺言」として、「担任によって学力、存在価値、生きがい、性格etc.私の人生全てを壊された」などの書き込みを残した。

 一宮市教委によると、生徒は昨年4月の進級後すぐ新しい担任との折り合いが悪くなり、体を触られることや、プリントの配布を手伝わされることに不満を漏らした。9月24日の体育祭の組み体操で肩車から落ち、両手の親指を骨折するけがをして、ペンが思うように持てなくなった。成績も低下した。

 体育祭のけがの後にすぐ対応してもらえなかった親は、担任への不信を募らせた。「遺言」の内容などから担任の指導や、担任を交代させなかった学校の責任を問うている。ただ、担任の指導についての具体的な不満は「遺言」になく、事実の解明はこれからだ。

 また、生徒の自殺を公表後、学校側の説明が変遷した経緯の検証も求められている。

 市教委は当初、生徒が「思い悩んでいたこと」に気付かなかったとしたが、今月12日夜のPTA総会で校長は「担任のいじめがあった」とした。翌日の記者会見では、「遺族の意向をくんだ発言」として撤回し、二転三転している。

 生徒の父親は17日、毎日新聞の取材に「昨年10月から、何度も学校に対応の改善を要望していた。第三者委は真実を明らかにしてほしい」と訴えた。【河部修志、山口朋辰】

■男子生徒の自殺を巡る経緯

<2016年>

9月24日 男子生徒が体育祭で肩車から落ち両手の親指をけが。担任教諭は母親から連絡を受けたが、対応せず打ち上げに出席

  26日 母親が診断結果などを教頭に報告し、担任が生徒のけがを上司に伝えていなかったことが判明

10月11日 母親が学校に担任の交代を要求

  14日 担任は代えず、複数教諭での指導に切り替え

<2017年>

2月6日 生徒が大阪市内で飛び降り自殺。「担任に人生を壊された」などの携帯ゲーム機の書き込みが見つかる

  9日 学校が担任を自宅謹慎に

  10日 一宮市教委が生徒の自殺を公表。市教育長は「思い悩んでいたことには気付かなかった」などとコメント

  11日 遺族から「学校は知っていた」と抗議され、市教委が記者会見。「生徒は担任と学校に対する不信感があった」と訂正

  12日 校長が臨時PTA総会で「担任によるいじめがあった」と発言

  13日 校長は記者会見し担任の指導が「不適切だった」と謝罪。一方で「いじめ」発言は「まだはっきりしない」と撤回

  15日 市教委が担任からの聞き取り内容を公表。生徒のけがについて母親への対応を後回しにした理由を「入院した父親の見舞いのため」と説明

  16日 生徒への弔意を示したいという校長らの自宅訪問を両親が拒否

2017年02月17日 22時25分

2017 毎日新聞社 ALL Rights Reserved.

ホーム>毎日jp>社会> 一宮中3自殺:夏までに最終報告 第三者委設置、対応検証