「保育園落ちた」1年: 「待機ゼロ」来年度末困難

衆院予算委員会で民進・山尾志桜里氏(左)が保育園の待機児童問題についての質問で安倍晋三首相(右)に答弁を求めたが、代わって答弁に立つ塩崎恭久厚生労働相(中央)=国会内で2017年2月17日午前11時19分、川田雅浩撮影

 昨年2月に「保育園落ちた。日本死ね!!!」と窮状を訴える匿名ブログが共感を集めて社会問題化して1年。17日の衆院予算委員会で待機児童問題が取り上げられた。安倍晋三首相は「保育の受け皿は増やした」としつつ、政府が掲げる2017年度末の待機児童ゼロの目標達成は困難だとの見通しを示した。今年4月の入所を目指して落選した親たちには失望が広がっている。

 ◇首相「ニーズ増に追いつかず」

 昨年2月の予算委でこのブログを取り上げた民進党の山尾志桜里氏は、この日の質疑で「1年たったが今年も解決していない」と切り出し、「20カ所に申し込んだが落ちた」「2人の娘を抱えているが4年連続落ちた」といった母親の声を紹介。「いつゼロにするのか」とただした。首相は「受け皿を増やすと同時に働く女性が安倍政権で90万人以上増え、その中でニーズも増えた」と指摘し、目標達成について「残念ながら非常に厳しい」と答えた。

 ただ、山尾氏に「約束を撤回するのか」と追及された首相は「待機児童ゼロの目標を取り下げるわけでは決してない。それを目指して頑張らねばならない」と強調した上で「働く女性の数が予想以上に増えたことは経済政策が非常に効いたからだ」と反論。保育士の処遇改善が民主党政権時代を上回っているとの恒例の反論も交えた。

 昨年の質疑では、山尾氏の追及に対して首相が「(ブログの内容が)本当に起こっているか確認しようがない」と答弁して猛反発を招いた経緯があり、今年の質疑もヒートアップする場面も。目標達成時期を即答できなかった首相に対し、山尾氏が「事務方に聞かないと分からないのですか。真剣に考えているなら常に頭にあるはずだ」と声を高め、首相は「そんなに興奮しないで。質問通告せず、すぐ答えられなかったら一本を取ったように言うのは充実した審議とは程遠い」とやり返した。

 山尾氏は、待機児童の定義を全国で統一することを提言。塩崎恭久厚生労働相は「待機児童の調査方法を検討し、今年度内をめどに取りまとめる予定だ」と答弁した。ただ、野党が提出した保育士の月給を一律5万円アップする法案に関し、塩崎氏は「財源が明らかでなく、総合的な人材確保策にもなっていない」として否定的な考えを示した。【光田宗義】

 ◇失望の声「危機感持っていない」

 フルタイムで共働きの女性会社員(34)=東京都台東区=は、今年4月の職場復帰に向けて、長男(5カ月)のため認可保育所を10カ所申し込んだが、すべて落選した。認可外保育施設にも複数申し込んでいるがまだ結果は分からず、気が休まらない。テレビ中継で安倍首相の国会答弁を見た女性は、待機児童ゼロの目標年度を答えられない姿に「(首相は)実感として危機感を持っていない。最優先課題じゃないんだ」と感じ失望したという。

 17年度末を期限とする政府の「待機児童解消加速化プラン」は、13年度からの5年間で保育の受け皿を50万人分整備し、待機児童をゼロとする計画だった。昨年3月にはブログ問題を受け、追加で「緊急対策」を発表。小規模保育所の定員拡大などを打ち出した。

 さらに今年度、企業が従業員向けに開設する保育施設に、認可保育所なみの公的補助を入れる制度を設け、来年度からは保育士不足解消のため、1人月額約6000円上乗せするなどの保育士の処遇改善も実施する。

 しかし待機児童の多い都市部ほど整備地の確保が難しく、騒音などを理由に住民の反対で開設が延期・中止となるケースも相次いでいる。保育士不足で予定した人数を受け入れられない保育所も出ている。待機児童数は16年4月時点で2万3553人。2年連続で増えており、働く女性の増加に保育施設整備が追いついていない。

 保育制度に詳しい池本美香・日本総研調査部主任研究員は「働く女性が増えているのは大変良いこと。認可保育所にこだわらず、少人数で保育できる小規模保育や、幼稚園の活用など、できることはまだある」と話す。【細川貴代、堀井恵里子】

2017年02月17日 21時00分

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